ブックレット「TPP反対の大義」を緊急出版します。

農山漁村文化協会では、今回のTPP・貿易自由化路線の急浮上に対抗し、

ブックレット「TPP反対の大義」を緊急出版いたします。

(1/20増刷出来予定です)

TPP反対の大義

「TPP反対の大義」

12月末発行
A5判・142頁
定価840円

>>田舎の本屋さんで購入する(送料120円)

TPPとは何か、という入門知識から、TPPと農業の構造問題、消費者の暮らしは楽になるのか、地方はどうなるのか、さらに農家からの発言などをとりあげ、TPP反対の科学的、全国民的大義を明らかにします。

是非、地域で、JAで、グループでの学習会にも御利用ください。


目次

まえがき

PART1 TPPと農業・農村、日本社会

TPPは社会的共通資本を破壊する 農の営みとコモンズへの思索から

宇沢弘文(日本学士院会員・東京大学名誉教授)

TPP批判の政治経済学

田代洋一(大妻女子大学社会情報学部教授)

TPP——アメリカの対アジア戦略

服部信司(日本農業研究所客員研究員)

真の国益とは何か TPPをめぐる国民的議論を深めるための13の論点

鈴木宣弘(東京大学大学院教授)/木下順子(コーネル大学客員研究員)

TPPと日本農業は両立しない TPPは日本を失業社会にする労働問題でもある

森島 賢(立正大学名誉教授)

TPP論議と農業・農山村 前原外相発言を批判する

小田切徳美(明治大学教授)

TPPと日本農業の構造問題

安藤光義(東京大学大学院准教授)

世界貿易の崩壊と日本の未来 TPP=タイタニックに乗り遅れるのは結構なことだ

関 曠野(評論家・思想史家)

食料自給を放棄した例外国家への道を突き進むのか TPPへの対応で問われるニッポンの国家の“かたち”

谷口信和(東京大学大学院教授)

北東アジアにおける食料・農協同の芽を摘み取るTPP

飯國芳明(高知大学教授)

グローバル時代だからこそ地域内再投資力の育成と地域循環型経済づくりを

岡田知弘(京都大学大学院教授)

PART2 TPPをむらと地域から考える

TPP激震地をゆく〈北海道〉 道経連を含む「オール北海道」で反対する

東山 寛(北海道大学大学院助教)

TPP激震地をゆく〈沖縄〉 さとうきびを壊滅させ、沖縄農業消滅に直結するTPP

来間泰男(沖縄国際大学名誉教授)

米韓FTA交渉における韓国政府の農業の位置づけを検証する 日本が韓国の轍を踏まないために

柳 京煕((社)JA総合研究所協同組合研究部主任研究員)

農家は「自衛農業」でわが身を守る

山下惣一(農家・作家)

「いのち」を永久につないで行くために

石田三示(農家・民主党衆議院議員)

現在の条件でしか考えない愚策

今橋道夫(農家 北海道美唄市)

TPPに抗し、「社会的協同経営体」の広がりを 進化する集落営農の大きな可能性

楠本雅弘(農山村地域経済研究所長)

市場の時間、むらの時間

内山 節(哲学者・立教大学大学院教授)

PART3 自治体、協同運動とTPP

協同はTPPを超える

蔦谷栄一((株)農林中金総合研究所特別理事)

生活クラブ生協のめざす消費者像とTPP

加藤好一(生活クラブ連合会 会長)

一時的な外交政策で、わが国の将来を不安に陥れることは許されない

藤田和芳(大地を守る会 会長)

いま問われているのは、私たち自身である

山本伸司(パルシステム生活協同組合連合会 常務執行役員)

TPPへの参加に反対する

服部郁弘(JF全漁連 代表理事会長)

国の根底を崩すTPP 政府がやるべきことは、足腰の強い農林水産業の確立と農山漁村の再生だ

藤原忠彦(全国町村会長)

(掲載順)


まえがき

本書はTPP(環太平洋経済連携協定)反対の“国民的大義”を明らかにするために編まれました。
「大義」とは「人の道」というほどの意味ですが、これとあわせ「国民的大義」とは、TPP反対を農業・農家保護の問題としてではなく、商工業、消費者も含むすべての国民の問題として論じることであり、日本社会の存立に関わる問題として論じることを意味しています。
そのような立場から本書では、TPPへの参加が、いのちと暮らしを支える農林水産業はもとより、圧倒的多数の商工業や地方経済に大きな打撃を与え、日本社会の土台を根底からくつがえす希代の愚策であることを明らかにします。
政府首脳やマスコミは、工業VS農業、一流の国に踏みとどまるのかVS農業を守るために二流の国に成り下がるのか、開国で成長加速かVS鎖国で凋落か、という対立構図をつくりあげ、煽っています。総じて「国益VS農業保護」という構図です。
本書では、こうした構図自体が誤っていることを理論的にあきらかにし、農業と商工業が相たずさえて発展する道、むらと農家経営を守り日本の国土、自然を守る道、すべての国民が末永く日本の国土、地域社会で安らかに暮らしていける道、その土台となる農業の大義、地方経済の大切さ、地域内循環型経済づくりの展望等々を全力をあげて明らかにします。
執筆陣は政治・経済学者、哲学者、農学者、農家、生協、漁協、自治体関係者など総勢26名の方々。小異を残し大同について健筆をふるっていただきました。
本書がTPPに係る国民的論議を深める上でお役に立てれば幸いです。
2010年12月

(社)農山漁村文化協会編集局


なぜTPPが急浮上してきたのか。TPPは、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリが加盟する、関税全廃、例外品目なき自由化を原則とする自由 貿易協定で、FTAやEPAよりもさらに強力な、究極の自由化協定だ。これにアメリカ、カナダ、オーストラリア、ペルーなどが加盟または加盟の検討を表明 している。アメリカのねらいは、いまや世界の貿易量の4割を占めるほどに経済成長著しいアジア市場により深く食い込むことであり、このアメリカの圧力と輸出企業を中心とする財界の意向を受けて、政府があわただしくTPP参加に動き出したのである。マスコミも、「(GDP)1.5%を守るために98.5%を 犠牲にして良いのか?」という前原発言や、「鎖国か開国か」、「このままでは日本は乗り遅れる」などといった財界や学者の「わかりやすい」言動を振りまきながら、TPP路線を後押ししている。ムギ、ダイズなどすでに十分「開国」していることは問題にせず、農業サイドや地方からの反対の動きも紹介している が、「業界エゴ」といった雰囲気を濃厚にした扱いだ。

「貿易」も「国際連携」「国際協調」も、大事なことである。しかし、TPPやEPAが進める貿易自由化は、市場原理主義に基づいているがゆえに、「連携」も「協調」も、もたらさない。

TPPに日本が参加し、農産物関税を全面的に撤廃した場合の影響について農林水産省は、国内農業生産額(約10兆円)の4割が失われると試算し、 かたや経済産業省は、「輸出が8兆円程度増え、日本経済に大きなプラス」としている。国内農業生産額の大幅減少は農業・農家だけでなく地域の雇用を減少さ せ、地域経済を疲弊させる。輸出が8兆円増えたとしても、その利益が地域に回る割合は限られるだけでなく、それは世界の地域の犠牲のうえに得られる可能性が高い。一方、中小企業の経営はよりきびしくなり、海外からの「安い農産物」が格差社会を固定化させる。地域の自然も農業も文化も引き継がれず、自国の食文化を享受する国民としての喜びも失われ、おかしな国になってしまう。

ここに「TPP反対の大義」がある。ひとり農家、農村に留まらず、この国の形をゆがめる重大事である。

政府・財界・大マスコミによる、まるで農業が日本経済のお荷物でありガンであるかようなの大合唱をハネ返さなければならない。農業にうとい、少なくない消費者も巻き込まれ、誤った「常識」が形成されてしまうかもしれないからである。(現代農業 2010年1月号主張より・抜粋)

TPP反対の大義

「TPP反対の大義」

12月25日発行
A5判・142頁
定価840円
ご注文・お問い合わせは 申込書(PDF) もしくは

TEL03-3585-1141 農文協・普及局まで

>>田舎の本屋さんで購入する(送料120円)

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